滋賀県経営情報

2022年1月1日施行「改正電子帳簿保存法」について

これまでにも「電子帳簿保存法」は改正されてきましたが、この度は政府が推し進める【脱ハンコ・ペーパーレスソリューション】に対応するべく、多くの企業が書類・帳票類の保存について「紙での保存」から「電子データ保存」へ本格的に取り組んでいくことになります。今回の電帳法の改正は、規制緩和と規制強化の両方の要件が盛り込まれており、経理業務のデジタル化のターニングポイントになると思います。

デジタル化の波に乗り遅れないために、経理担当者はどのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。

国税関係の帳簿・書類の要件緩和

こちらはすでに国税関係帳簿・書類を電子データ保存・スキャナ保存を採用している場合に適用される内容が多く、規制緩和に該当しますのでこれから開始される方は国税庁のパンフレットなどをご覧下さい。

国税庁 はじめませんか、帳簿書類の電子化!(令和3年11月)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_01.pdf

国税庁 はじめませんか、書類のスキャナ保存!(令和3年11月)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_02.pdf

電子取引における電子データの保存の義務化

これはこれまで電帳法について何も意識していなかった企業でも(例えば請求書などのPDFをメールで授受した場合はプリントアウトして保存している、WEB請求書発行システムなどを利用している場合など)、データで受け取った書類の出力保存が原則不可になるというものです。また、それらの電子データの保存には、タイムスタンプの付与(今回は、事務処理規定の備付けによる代替も可能です)や、訂正・削除履歴などをシステム上で確認できるようにするなどの「真実性の確保」をしなければなりません。社内でシステムを構築するのは非常にたいへんですので、それらの対策が取られたクラウドサービスなどの利用を検討するのもいいかも知れません。

国税庁 電子データの保存方法をご確認ください(令和3年12月改訂)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021011-068.pdf

とはいえ、この度の改正電帳法では、電子取引以外の帳票類(紙でもらう請求書など)はスキャン保存する必要はなく、書類での保存でも構わないということです。まだまだ郵送で請求書などを送付している企業は多いと思います。せっかく電子取引をしているのに、先方様から、「なんだか面倒なので、やっぱり紙で送ってもらえます?」なんて言われて、かえって作業量が増えたなんてことにならないといいのですけど…。

今後も電帳法は改正され、ますますデジタル化は加速すると思います。企業の経理担当者の方はきちんと処理しそのデータを適切に保管するというだけではなく、既存のシステムが法要件を満たしているか、または適しているか、経理業務効率が向上しているかなどを確認しながら業務を行わなければなりません。がんばりましょう。